メアリー・ポピンズ 本編のさいごのお話になります。


出版社/著者からの内容紹介
バンクス家の子どもたちが待ちに待っていたメアリー・ポピンズが,やっと帰ってきました.しかも,打ち上げ花火の星にのって! 子どもたちは,メアリー・ポピンズの不思議な魔法の世界に,すぐにでも,そしていつまでもひたっていたい気持ちでいっぱいです.さあ,マザーグースや神話の世界へ,楽しい冒険旅行のはじまりです.[改版]
内容(「BOOK」データベースより)
しつけにはすごくきびしいけれど、子どもたちの心をつかんではなさないメアリー・ポピンズ。3度目にあらわれたのは、なんと、打ち上げ花火の星にのって!さあ、マザーグースや神話のふしぎな世界へ、冒険にでかけましょう。小学4・5年以上。

文章はパメラ・リンドン・トラヴァースさん
絵はメアリー・シェパードさんと、アグネス・シムスさん。
出版社は岩波書店です。

前巻は「風にのってきたメアリー・ポピンズ」

帰ってきたメアリー・ポピンズ
の2作です。

メアリー・ポピンズの本編、3作目にして最終巻は
ガイ・フォークスのお祭りから始まります。
イギリスでは大事なお祭りで11月5日とのこと。
前回いなくなったのは春なので、一年たたずにもどってきたわけですね。

今度の登場は花火の中から。
毎回空からあらわれるメアリー・ポピンズ。とてもステキな登場なのに、言われちゃうと否定します。
まっとうじゃないから、かな。やっぱり。

いつも通り
家の中が険悪なときにあらわれて
秩序を保ち、安定をもたらし
そして子どもたちには不思議な世界を見せてくれます。
メアリー・ポピンズと一緒でなければ会えないような
ふしぎな親戚や人やモノ。
でもねぇ
それは「特別なこと」であって「普通のこと」ではないんですよ。
メアリー・ポピンズという存在も含めて、ね。


この「特別なこと」っていうのは期間限定なわけです。
<純粋な子どもの時期>という。

メアリー・ポピンズのシリーズを読みかえして「おや?」と思ったのは
子どもたちの年齢が書いてないんですね。
最初にあらわれたとき、ふたごは赤ん坊でしたから大きくても1歳前後
帰ってきたときに生まれたのはアナベル
なので、下の3人はだいたいの大きさがわかりますが
ジェインとマイケルに関しては年齢がわからないんです。
最初から最後まで長くても5年たっていませんし
上のふたりは最初からメアリー・ポピンズとちゃんと会話ができているので
4,5歳くらいなのかな?とは推測できますが
そうすると、この巻ではジェインが8歳か9歳
日本でいうところの『七歳までは神のうち』をすぎて、思春期に近づくお年頃かぁ。
学校に行ったり、家庭教師が来たりで
読み書きや知識を覚え、空想と理屈を引き換えにする年頃…というのは言い過ぎかな。
大人の庇護から少しずつひとりだちを覚える年頃、というのが穏当ないい方かも。

子どものときしか味わえないような純粋さから抜け出す、その前に
メアリー・ポピンズは子どもたちに別れを告げなくてはなりません。
物語の中で何度も語られているように、彼女は自分の心の中をけしてあらわさないので
別れがどれほど悲しいのかは、3度の別れのうち一度も語られません。
けれど、『帰ってきた~』で最後にせず、往復切符を用意したことを思い出すと
バンクス家の5人の子供に深い愛情を抱いていることは間違いなく
それでも振り返らない別れっぷりは潔く、これくらいキッパリ生きられたらいいだろうな…と思う裏側で
かなり長い時間を生きているであろうメアリー・ポピンズはこんな別れを何度も繰り返しているのだろうかと
少し悲しい気持ちになります。


このシリーズ、3巻を通して
ワタシはずいぶんと大人目線で紹介していますが
それは結局
この物語の中で語られる、純粋な子ども時代にはもう戻れないんだなー
というノスタルジーからなんじゃないかな…という気がしています。

すぐに機嫌を悪くしたり、それがあっという間にけろりとなおったり
相手に文句を平気で言ったりというわがままさもすべて
子どもの世界そのもの。
そして
メアリー・ポピンズがいなくなったときに見た星にジェインとマイケルがかけた願い
「生きているかぎり、メアリー・ポピンズを忘れないように」は
もしかして、物語で語られた不思議な体験よりも
語られていない平凡な日々のほうが
ふたりの中では大きいのでは?
と感じさせられるような、メアリー・ポピンズの完全無欠の守護のような類のものは
子どもの時は当たり前のように受けられる(べきもの)であり
成長してまで持っていてはいけないもの(持ち続けていては甘えにしかならないもの)なんじゃないかなー、と。


子どもの視線で読むと極彩色であり、ピリッとしたスパイスの効いた楽しい物語
オトナの視線で読むと、そこにほろ苦さが隠れている深みのある物語
そんなメアリー・ポピンズのシリーズは
クラシックな訳も含めてとても読み応えがある作品です。
未読の方はぜひ一度
濃厚なガトーショコラのようなこの世界を味わってみてください。
スポンサーサイト

あさになったのでまどをあけますよ

帰ってきたメアリー・ポピンズ

comment iconコメント ( -0 )

コメントの投稿






trackback iconトラックバック ( -0 )

Trackback URL:

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。