ホタルの時期になったら、この作品を紹介しようと思ってました。



内容(「BOOK」データベースより)
あなたがその恨みを手放さぬ限り…蒼白い月の光は、時間を超えたいくつもの魂の旅路を優しく照らし出す。幻灯のように浮かび上がる、静かな一夜の物語。とうきち自身気づかずにいた前世の無念は、律儀な蟹の群れと共に月夜に昇華される。幻想的絵本。
内容(「MARC」データベースより)
助けた蟹が恩返しに来たことで、とうきちは自分でも気づかなかった前世での無念を思い出す。生まれて来て生かされていることの不思議を、深みのある絵と共に幻想的に描く。

文章は梨木香歩さん。
絵は木内達朗さん。
出版社は理論社です。←ってことで、たぶん書店では入手できないんではないかと。
興味をお持ちになった方は図書館へどうぞになっちゃいます。スミマセン★

梨木さんの作品は
マジョモリ

りかさん
を紹介しています。

…えー
なんといいましょうか…

格調高いけど、コレ、売れました?
という失礼な第一印象でごめんなさい!
(しかも太字で色まで変えて!)

というくらい
絵といい、文章といい
大人っぽい絵本です★
子どもにゃ勿体ないというか
わかんの?と
大人が思っちゃうというか。

しかし、こういう本に魅せられる感性の子は
絶対にいますからね。
そういう子のもとに届きさえすれば
心のどこかにしっかりと根をはる本でもあるんですよね。

タイプでいうと
宮沢賢治のフリークっていうくらいのめりこんでたんまり読んでる子とか
偕成社の「日本の童話名作選」が大好きな子とか
そんな子にはぜひぜひ読んでもらいたいなぁと
個人的に強く思っています。


この本が出版された当初より
今の梨木さんの小説のムードに近い内容ですね。
夢と現実のはざまみたいな不安定さ・不確かさに
「たそがれ」という言葉が似合うようなほの暗さ。

だいたい、絵本に「前世」というオカルトというかスピリチュアルを
堂々とからめているというのは
ここ数年ならいざ知らず
出版当初の2003年では、まだまだ浮いていたんでは?
と思いますけども
これをすんなり通したのは、理論社の枠の広さですねぇ。

また、木内さんの挿絵がその世界観をさらに倍!
みたいな感じで拡げてるので
絵本ですか?画集ですか?ってくらい
それぞれの見開きの存在感がすごいです。

油絵で
物語を補完するというよりも
見てるのは同じ世界なんだけれども
文章と絵であらわすとこんなふうに乖離するんだよというか。

…文章にすると
オカルトちっくな表現かもしれませんが

「作品」というのはどこかに既に存在していて
創り手がそれを自分というパイプを通し
なるべくゆがめないかたちでこの世に現すのだ

という説があるんですが

そういう意味で
ひとつの「完成作品」を
梨木さんが文章で
木内さんが絵で
それぞれ現した

ような一体感を
ワタシはこの作品から感じるわけです。

それぞれ独立していて
しかしひとつである、というようなね。

蟹の絵
牛の絵
夜の絵
みんな好きだ!
(あと、見返しがそんなに凝っているわけでもないのにものすごいツボです)

「さてはおまえは蟹じゃろう」
という判断力とか
前世をすっかりと思いだしながら
それを現世の一歩も二歩も引いた冷静さで見つめ
ひきずられない態度をみせる
とうきちもいいです。

ホタルのシーンは
クライマックスのわりには
静かすぎてそれほど印象強くないのがちょっとだけ残念ですが
ホタルの話ではなく蟹塚の物語なので、これでいいのかな。

本のサイズ自体はわりとコンパクトですが
そして表紙も地味ですが
だまされちゃいけませんぜ旦那
といいたくなるような
忘れられない1冊なのでありました。
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マトリョーシカちゃん

バムとケロのそらのたび

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