【内容情報】(「BOOK」データベースより)
この家には障りがあるー住居にまつわる怪異を、営繕屋・尾端が、鮮やかに修繕する。心ふるわす恐怖と感動の物語。

営繕かるかや怪異譚

小野 不由美 KADOKAWA/角川書店 2014-12-01
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by ヨメレバ

 

「始末」のいい短編集

小野不由美さんのホラーは『残穢』と『はこ』を読んでいますが、少しずつ趣が変化していてイイですね~。

前に書いた2作品では怪異の輪郭がうすく滲んでいる感じだったのが、この短編集では割合はっきりと「おかしいことって、たしかにあるんですよ」って押し出してきています。


6編の話、6軒の家。
特別な人たちではなくて、縁があったり巡り合わせだったりして住むようになった家が怪のある家なんですが、「なんで?」ですし「気のせいだ」とも思いたいわけです。
でも、現実におかしいことは起きちゃってるんで、じゃあどうするの?と。

 

引越しますか?賃貸で身軽に暮らしているなら(そしてお金に余裕があるなら)それもありかもしれません。でも、現実として考えると、引越しっておおごとですよ。
そもそも引っ越してきたからにはそれなりの事情があるんですから、「すぐに引越し」なんて、口で言うほど簡単にできないもんです。(相っ当!に、久ーしぶりの引っ越しを目前にしているので実感こもりまくります…)

困っているところにふらりと登場するのが『営繕』屋の尾端さんです。
知り合いの大工さんや植木屋さんから、いわば口コミでお仕事をする人のようですが、霊感とかではないらしいのにこういう仕事が多いといい、的確にお仕事をしていきます。

彼が家を少しだけ変えて、追いやるのではなく行き先を作ってあげる、もしくは人目につかないように置いてあげる。
いわば「抜け道を作る」ことによって住人と怪異が上手に共存できるようになるんですね。

で、
この作品を読んでいてわたしが思い出したのが杉浦日向子さんの『百日紅』。
収録作品に「鬼」というのがあって、これは北斎の娘お栄ちゃんが依頼を受けて地獄絵を描いたら真に迫っていすぎたために繊細な奥方に影響が出てしまい、北斎がその絵に描き足しをして怪異を収める…という話。
この描き足しのときにね、北斎がお栄ちゃんに言うんですよ。「な、コウすりゃ“始末”ができるじゃねえか」って。
『営繕かるかや~』で尾端氏がしているのは、まさにこの“始末”。
追い払ったり退治したりするのではなく対処することで共存できる…これはホラー好きとしては新鮮でしたねー。オカルト系だと退治するとか成仏させるとかそういうのが多いのでね、「全編その手でいきますか!」と。

一応の解決がみられれば、少々の事があってもやりすごしていけるものですしね。


そういえばこんな感じって山岸凉子さんの『白眼子』にも共通するかも。「大難を小難にかえることしかできない」的なセリフがありました。

 

6編を通じて、根本解決ではなくその場しのぎとも言えますけれど、この曖昧でゆるやかな対処療法は、<なあなあ>という言葉のいい面でもあり、かつ、非常に日本的でもあるのかも。
まあ、なんにしろ謎めいた雰囲気含めて非常に興味深く面白いです。

なるほどなるほどと納得し面白く一気に読んでしまったのでした。

 

今回コピペはしていませんが、楽天ブックスの紹介文によると、このシリーズは現在も連載中とのこと。
続きがいつ出るのか?読み終わった先からワクワク楽しみです♪

 

小野さんの怪談えほんの紹介記事はこちらでしています→『はこ』

 

 

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