今日は下巻を紹介します。

母なる大地父なる空〈下〉―アリューシャン黙示録母なる大地父なる空〈下〉―アリューシャン黙示録
(1995/10)
スー ハリソン

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昨日の上巻の紹介は、あらすじや他のレビューとの比較にウェイトが大きかったかもですね。
書きのがしたことがけっこうあるような気がしますが、下巻でどれだけ補完できるかな?

Amazonの下巻内容(「BOOK」データベースより)
新たな戦いが間近かに迫っていた。危機を伝えるため、「黒曜石」は乳飲み子を連れて故郷の西の島へ向かう。そのとき、新天地を求めて一人の青年が海をわたってきた―。氷に閉ざされた青い世界に薄明かりが照り映えるころ、死者たちの霊をのせた風が「黒曜石」にささやく。いまこそ勇気を…。

てことで、内容を読むとなんだか争いばかりの物語っぽいですが
争いと争いの間におきるドラマのほうが魅力的なんですよ☆


下巻は、いきなり<黒曜石>と<古に遡る>以外の人たちの登場から物語が始まります。
住んでいた村が度重なる津波におそわれ、このままでは村全体が沈んでしまうと感じ
村を出てきた3家族の人々です。

リーダーになれる立派な男<筋肉>と、<筋肉>と仲のいい<大きな歯>
そして、なぜか彼らについてきた<灰色の鳥>。
それぞれ妻や子供を連れています。

しかし、<筋肉>の妻は赤ん坊を産んだ後の出血がひどく、息子の赤ん坊をおいて亡くなってしまいました。
乳をやれる女性は連れの中にはいないので、このままでは息子もまた死んでしまうでしょう。
頼りない命を連れて、<筋肉>たちは<古に遡る>の島へとたどり着いたのでした。

一方、<黒曜石>は死んでしまった<殺し屋>の子どもを産んで、乳飲み子の赤ん坊を育てています。

<古に遡る>は彫刻に込める力があっても老人です。肉体的な力では<殺し屋>にはかなわず
<殺し屋>が生きている間に<黒曜石>を半ば無理やりに妻としたのでした。
<黒曜石>と<古に遡る>はふたりで<殺し屋>の油断を誘って殺しましたが
そのとき<黒曜石>は身ごもっていたのでした。


<古に遡る>の浜で、<筋肉>と<黒曜石>は出会います。
妻を亡くした男と赤ん坊と乳をやれる女
文句なしの組み合わせのはずですが
<黒曜石>の過去とおそれが邪魔をしています。
本当のことを話したくない<黒曜石>と<古に遡る>は、子どもの父親を<殺し屋>ではなく<黒曜石>の婚約者だった男ということにしているのでした。

もっともな理由があるとはいえ、嘘をついていることにより事態が複雑になり
後にトラブルの原因になります。
人数はそれほどでもないのに、物語がけっこうややこしくなるのは
トラブルメーカー<灰色の鳥>のしょうもなさだったりするのですが。
怠け者で口がうまい<灰色の鳥>は、この第一部でも、以降でも常に問題を起こし続けます。
「こいつがいなければ、もっと物語がスッキリするのに!」と何度思ったことか(笑)。
このしょうもなさがスパイスであるのはわかりつつも腹が立ちますね~。

<殺し屋>の一族は、<黒曜石>の祖父母がいる「クジラ狩り族」の村をも襲おうとしています。
それを知らせに皆は「クジラ狩り族」の島へと向かいます。

「クジラ狩り族」と<殺し屋>の一族の戦い
<古に遡る>の死
その中で洩れてしまった秘密など
ドラマティックな展開ですが、力強く抑えめなトーンなので
血なまぐささはあまり感じません。

<黒曜石>が苦難を乗り越えながら身につけた強さは戦いの中でも発揮され
ヒロインというより、ちょっとヒーローはいってます。男前~な感じ。
強い部分と、女性としての弱さが入り混じるところが彼女の魅力でしょうね。

第一部の最後で<黒曜石>は<筋肉>の妻になります。
彼女の重なる不幸は終わりになり、新しい生活がここから始まるのだと感じさせる
第一部の終わりです。


アイヌやイヌイット、ネイティブ・アメリカンなんかの民族に興味があるとか
シャーマニズムやアニミズムに興味があるとか
そういった方がこのシリーズを読むとけっこう楽しめるんじゃないかな?と思います。
理解できるのは中学生以上、高校生とかかなぁ。
子ども目線ではなく、大人目線で描かれた物語なので
それを理解できる年代になってから、じっくり味わってほしい第一部でした。
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アンナの土星

母なる大地 父なる空(上)―アリューシャン黙示録第一部

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