ここのところ、ずっとはまっているインノチェンティの絵本。
でも、今日紹介するこの本は、
以前に紹介したくるみわり人形ピノキオの冒険と、かなりタイプが違います。



エリカ 奇跡のいのち

物語絵本ですが、著者ルース・バンダー・ジーが出会った
ひとりの女性に起きたできごとを語ったノンフィクションでもあるようです。

内容としてはレジーン・ミラー物語とか、夜と霧などと同じジャンル、ユダヤ人の物語になります。
(今回、リンクが多くて恐縮です。別々のカテゴリにある同じことを語った本ということでご了承ください)


レジーン・ミラーは記憶がありました。
エリカは記憶がありません。

それもそのはず
エリカは生後数か月の赤ん坊だったのです。

名前も誕生日も家族構成も彼女は知りません。
でも
自分がユダヤ人であることは知っています。

彼女は
強制収容所に行く列車の窓から
外へ投げられ
近くでそれを見ていた人にひろわれ
引き取ってくれる女の人のところへつれていってもらったからです。


列車から放り投げる

それだけを読むと
なんてことを
と思うかもしれません。

でも
時代とその現場を考えると
物語で書かれているとおり
それは『「生」にむかってなげた』
ということなのでしょう。


もちろん
走っている列車からなんて
間違ったら死んでしまいます。

けれど

収容所で
生後数か月の赤ん坊が生き延びる可能性があるでしょうか?

生きのびる確率が少しでも高くなるなら

決断と
祈りがあったことでしょう。

祈りは強く
エリカの親が生きている限り続いたことでしょう。

そして
奇跡がおこったのだと
わたしは思います。


インノチェンティの絵は
この本で
人の顔を描くことを拒んでいるかのようです。

物語の最初の方で
エリカと思われる女性の横顔(日陰にいるため、表情もよくわかりません)
物語の中盤で
放り投げられた赤ん坊エリカの顔(泣いているらしいことがかろうじてわかる程度です)

それ以外は
遠くからのシルエット的な姿だったり
後姿だったり

描くことを拒否しているであろう
顔の部分にさえぎるものをうまく配置したり
胸の下のあたりまでのアングルで描かれたりした人々の姿だったりします。
(インノチェンティの構図のうまさが
ここでも活きています)


階層の物語内ではほぼモノクロのように色を抑え
気づかず見過ごしてしまいそうなモチーフを使いながら
インノチェンティは
エリカという「いのち」を力強く描きます。

彼は
「いのち」と
物語を
あますところなく描ききった

わたしはこの本を読んで感じました。
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