美しくて切ないラブレターみたいな絵本でした。


【内容情報】(「BOOK」データベースより)
むかしコーカサス山脈のふもとグルジアの国にニコ・ピロスマナシュヴィリというふだんはニコとかピロスマニと呼ばれていた放浪の画家がいました。貧しい彼は酒やパンとひきかえに店の看板や壁にかざる絵をかきました。そのおおくはグルジアの人々の暮らしや伝説、そして動物たちをえがいたものです。ピロスマニは孤独のうちに生涯をおえましたが彼の夢は大きな木の家をたてて友とお茶をのみ語りあうことでしたー画家ピロスマニ、その孤高の魂に捧げる讃美の歌。

著者:はらだたけひで
出版社:冨山房インターナショナル
初版:2007年6月27日



なんていうか、表紙を見たときに「この絵本、きっと好きだ」っていう実感がありまして。
読んでみての感想は「あれ?知ってる?」でした。
どこでだかわからないのですが、ニコ・ピロスマニの絵を見ているのです。
リアルではなくて画集ですが。どこでだろー?

著者のはらださんは、この絵本のほかにニコの評伝も書いていらっしゃるようです。
もしかしたら、わたしが読んだのはその本かもしれませんね。
(やっぱり読んだ本リスト、再開したほうがいいかなあ。エクセルに入力してたんだけど
何年か前にストップしちゃったんですよ)

ニコがどんな人だったか、
自分がニコの絵を見てどんなふうに感じるか
どんなふうにニコのことを捉えているか

そんな、ニコへの想いを長めの詩のような文章にのせて
オマージュ的な絵とともに1冊の本にした絵本。
文章と絵を組み合わせて想いの結晶にしたような作品です。
こんなふうにラブレターを作品にできるというのは
うらやましい限りです。
なんていうか、こんなふうに才能があったら…と思わないでもないのですが
人と比べるのは何も生まないでしょうから
まずはしっかりこの絵本を堪能することといたしましょう。

柔らかい色合いで、線と構図はシンプルに。
はらださんの描くニコの後姿がなぜか宮沢賢治と重なります。
わたしのなかの賢治と、はらださんのニコのイメージが近いのかもしれませんね。
作中の「ぼくは ひとりで生まれ ひとりで死んでゆく」というニコの言葉に
宮沢賢治の『永訣の朝』の妹・トシが語る『(Ora Orade Shitori egumo)』という一文を連想しました。

たぶんですが、宮沢賢治が好きな方は、この絵本を読んで共感するのではないかしらと。

暖色をたくさん使用しているのに、裏側にほんのりと淋しさがまざっているようで
憧憬というのは、熱と冷たさを一緒に持ってしまうものなのかなあと
自分の気持ちを重ねるように読んでしまいます。

ニコの心を追うように、はらださんはこの絵本を作り
わたしたちは、そのはらださんの心を追いかけるように読むのではないかしら。

心も文章も絵も、つかめないものではあるけれど
読むことで、時間や場所などの隔てをすべて越えてしまって繋がるものが
もしかしたらあるのかもしれない。あったらいいな…。
そんな希望をしみじみと抱かせてくれる作品でした。


 [は行の出版社] [あ行のタイトル]
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