クリスマスシーズンになると読みたくなる本の1冊です。
JAZZとかセッションという言葉の雰囲気は、この作品で覚えたんだなあ。。。


内容(「BOOK」データベースより)
ぼくが初めてオルオラネ爺さんに会ったのは、初雪が降ったある冬の晩のことだった。酒の好きな三匹の猫を連れ、もしゃもしゃっとした髪も、長いあごひげもまっ白なその老人は、猫たちを楽器のようにつま弾き、美しい妙なる調べで、人々の心を魅了してゆく―不思議な老人と猫をめぐる物語を抒情感豊かに描きあげ、夢枕獏の原点とも称される、ロマンチック・ファンタジイ全七篇を収録する『オルオラネ・シリーズ』完全版。

著者:夢枕獏
出版社:早川書房(ハヤカワ文庫JA)
初版:1994年6月

文庫は古本か図書館になるようですが
Kindle版も出ています。

 と 
のふたつで文庫本の内容が網羅できるみたいですよー。



山の話や独特の幻想的な物語を書く夢枕獏さんの
かなり初期の短編集です。

有名多作な作家さんですね。
陰陽師のシリーズは岡野さんのコミカライズと合わせて読んでいました。
途中からコミックは方向性が変わっちゃったけど、一致しているあたりは本当に好きだったー。

小説に限らず、ですが
最初のころの文章というのは、書き手のなかのいろんなエッセンスが濃く濃くつまっていまして
この方の場合は、山と幻想と音楽。

この作品集は、タイトルの通り
オルオラネという名前のおじいさんが「猫を弾」きます!
書いてるだけで思い出すなー、初めて読んだときの、あのインパクト。
猫がカワイイうえに、鳴き声が聞こえるような独特の文の味わいがまたなんともいえなくて
衝撃でしたねー。
(余談ですが、このオルオラネじいさん、弾けるのは猫だけじゃないのです。
読んだ方はアノ場面のことね、とわかるはず。 思い出すとちょっと人の悪いニヤニヤ顔になっちゃいます)

飲んべのネコになんか育てちゃいかんだろー
という動物に対しての正しい愛情をお持ちの方には読む間だけ目をつむっていただくことになりそうですね。
なんたって、飲むと声がよくなっちゃうんですから。
そして、鳴き声が楽器になっちゃうんですから、これは楽器の手入れみたいなもの…か?
ちょっと苦しい言い訳ですけれど。
猫が飲んべじゃないと展開しないエピソードも多々混ざっておりますので
書かれた時代性も加味して見逃してください★

夢枕さんの文体は独特で
ぷつぷつ切れる短い文章の中に空気を込める感じなのですが
オルオラネのころはまだわりと普通の文章でして
そこに混じる猫たちの鳴き声が強烈かつ鮮烈。
伸ばしかたや改行から始まり、果ては文字を回転させたりと、今見ても斬新な手法が使われています。

「もうこういうものは書けない」とご自身あとがきで書いていらっしゃいます。
うん、たぶんそうでしょうね。
文体だけの話ではなく、
ところどころに入っている色っぽいシーンににじみ出てしまう恥じらいがなんとも
若くてフレッシュというか、初々しいというか。
ワタシとの相性なのかもしれませんが、
登場人物だけではなく、書き手の恥じらいも読み取れちゃって
いいカンジに照れたりはにかんだりして、甘酸っぱい心地になってしまうのです。

恋愛のキュンとした感じもそうなのですが
音楽や演奏の場面になると、このエネルギーはさらに強まってガツンときます。
そういえばJazzなんて全然わからない頃に読んだのに
面白そう!って思ったのは、文章から、わからないなりにパワーが伝わってきたからだなあ。
音楽に関しては当時も今も詳しくはないのですが
音楽のスウィングを文だけで味わえちゃうのはやっぱりすごいよなーと思います。
抽象を別の抽象に置き換えるんですもんね。
ワタシもこんな文章が書けるようになったら、ゴンチチのライブレポももっとステキになるかしら…などと。

山に関しての記述も実感あふれていますが
これに関してはオルオラネ以外の初期作品でもよさが味わえますし
未読ですが山岳小説も書いていらっしゃるはずなので、初期にこだわる必要もないかも?

このオルオラネの場合は、やっぱり猫を弾くところがイチオシなのでした。

クリスマスにこだわる必要はありませんが
寒ーい時期に読むのがあっているような気がします。
抱っこできる猫がいる方にも、いない猫好きさんにも、同じようにおススメいたします。


 [は行の出版社]
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なにからできているでしょーか?(大森裕子・著 白泉社 コドモエのえほん)

人形つかい(ロバート・A.ハインライン・著 ハヤカワSF文庫)

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