911は過ぎましたが…


2009年アカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した作品です。

監督:ジェームズ・マーシュ
製作:サイモン・チン
製作総指揮:ジョナサン・ヒューズ
出演者:フィリップ・プティ
音楽:マイケル・ナイマン、ジョシュア・ラルフ
撮影:ジンクス・ゴッドフリー
編集:イゴール・マルティノヴィッチ

絵本『綱渡りの男』の紹介記事はこちらからご覧いただけます。

絵本を読んだあとで、映画にもなったし(大人向けの)本も出版されていると知り
そのうちコンプリートせねば、と思っていました。
1年半すぎてやっとDVDのほうを見ましたよ。

本人や関係者のインタビューと当時の映像や再現映像をつなぎ合わせて作っています。
いわゆるパッチワーク状態なのですが、それにもかかわらず引き込まれるのは
インタビューされている皆が当時の熱を呼び起こされ、時代の空気を色濃く醸し出しているからでしょう。

意外だったのは
絵本を読んで「一糸乱れぬチームワーク!」みたいに思ってたのが、実は全然そうじゃなかったこと。

彼の想いに巻きこまれ手伝う羽目になった友人たちが中心なのですが
どうにも足並みが揃わず、1度は挫折してフランスに戻り、成就のときも途中で抜けたメンバーがいたりと
なんとも不揃いでちぐはぐなのです。
冷静に考えてみると、人に迷惑をかけないとはいえ彼らが行うのは犯罪なのですし、
ハッキリ言って、成功しても裏方手伝いの彼らにはメリットがほとんどない。
あるのはやってのけたという爽快感・満足感のみ(そして前科がつく★)…ぶっちゃけ、割にはあわなさそうですよね。
逃げ出すのもムリはないですし、抜けた彼らも恥だとは思っていなさそうな表情でインタビューにこたえています。

しかし、このバランスの悪さを見るにつれ、
よくあの命をかけた綱渡りが成功したなーと驚き、改めて感心します。
当人も友人もインタビュー中に何度「ムリ(impossible)」と言っていることか。
これで成功したということは、いわゆる神様が見逃してくれた壮大なイタズラ、なんでしょうかね。

イタズラでありお祭り騒ぎだったこの綱渡り。
終わった後、彼らはそれぞれにエキサイティングな体験を得たかわりに、その代償を払います。
友情で、あるいは愛情で。
綱渡りが終わったとき、プティは時の人になり、それゆえに
それまでの交友関係に亀裂が入ってしまったようです。
人の見ることのない世界を実際に体験し、いわば強い光を浴びたことで
それまで手助けしてくれた人々が影になってしまったことに対して無頓着になってしまったのかもしれません。

光る才能というのは、影もまた濃く出るものです。
その影にも光を当ててくれたことで、この出来事がより立体的にわかるようになりました。

他の曲に混じり、要所要所で流れるBGMはサティの曲。
ベタだけれども雰囲気を盛り上げるのにはいいのですよね。
この印象的な切なさが後味として残ります。
友情も、愛情も終わってしまったけれど
そしてあのツインタワービルも今はないけれど
でも
そのときは確かに存在したのです。
彼らの間に、存在したのです。

熱狂とはかなさを心に残す
大きな大きな打ち上げ花火みたいな出来事だったんだなと
この映画を見て彼らの心のかけらに触れたような
そんな気がする作品でした。
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虫のくる宿

いつもみていた ゆめをかなえた女の子ジェーン・グドール

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