1巻2巻があるので、連続で紹介できるか、少し間があくか…?
ともあれ両方紹介するのは間違いないです。
すごい作品です。


【内容情報】(「BOOK」データベースより)
アフリカ奥地の村の少年ヤクーバは一人前の若者として認められるために独りでライオンを倒しに出かける。しかしそこで出会ったのは、瀕死のライオンだった…。

著者はティエリー・デデュー
出版社は講談社です。

こういう本を読むたびに「講談社って、出版社としての力がすごいなー」って思っちゃいます。
パッと見は売りにくそうな表紙で、だけど読んでみるとすごい!って作品に感心すると
講談社率が高いんですよ。
目先ではなく長い目で見ての出版ができるって
眼力の素晴らしい編集さんがいて、なおかつ余裕のある会社規模というか、
まあぶっちゃけいうと予算&経済力もあるってことですからねー。

初っ端から生々しい話になっちゃいましたが
でも大事なことだと思ってます。
このあたり、今日の本の感想ともちょいっとかぶったりしますので。

この絵本も、おススメはしたいけれど感想を求めてほしくない作品のひとつ。
ワタシがそういうことを書くときはだいたいにして、感想が道徳的になる内容の本です。
道徳は必要だと思いますが、周囲から強制されるものではないと思っていますのでね。

『大地の子エイラ』を過去記事で紹介したことがありますが(上巻中巻下巻の3回記事です)
『エイラ』が好きな方ならこの『ヤクーバ』もかなり気に入っていただけるんじゃないかしらと推測します。

翻訳者の柳田国男さんはあとがきで「野太い黒い線だけの強烈な絵」と書いていらっしゃいますが
まさにそのとおりで
一歩間違えると本当に怖い絵です。
アフリカの強い光とその光がもたらす影はどれほど深いのでしょうか。

曖昧なところの一切ない絵は、妥協の許されない彼らの生活をもうかがわせます。
そもそも成長の通過儀礼でライオンを殺すって★と
日本人のワタシなどは驚いて口があいてしまうのですが
それほど日々の生活が厳しい環境であり
できない者は狩りに行っても死ぬ可能性が高いのかもしれません。
もちろんそこまでのことは文章には書きあらわされてはいないのですけれど。
でも
挿絵を見ると、仲間の少年はヤクーバのほかに5人もいて
その子たちがめいめいライオンを倒してきたというのですから
どれだけライオンが多いのか
いや、もしかすると彼らの狩り場の範囲が、ワタシたちの常識では計れないほど広いのかもしれません。
それほど広い範囲を動かないと、狩りの獲物が手に入らないのかも。

もし、もし、の想像でしかありませんけれど
大事な時期の決定的な出来事に出会ったときの
大きなわかれ道での選択。

本来ならば、ライオンとの対決は
命と命の等価交換になるべき通過の儀式ですが
ヤクーバの場合、ライオンは傷をおっていて
彼は無傷で元気でした。

勇気と
名誉と
命と

どれが重いのか
なにを選ぶべきなのか?

ヤクーバがした選択は
彼の部族に益をもたらすものではありませんでした。
しかし
彼の場合の通過儀礼を果たすときには
彼の生命はかかっておらず
村の人々の生命もまた脅かされることはなかったのです。少なくともこの時点では。

彼は勇気の足りなかったものとしての仕事を与えられることになりました。
仕事をしながら、何度もあのときのことを思い出したことでしょう。
自分の選択について考えることもたびたびあったのではないでしょうか?

けれど
自分が選んだ道を後悔することはなかったのだろうと思います。
それほど重い選択をする機会が自分に巡ってくるかはわらないのですが
信じるものを自分の中にしっかりと持てる
そんな生き方をしたいと思わせてくれる作品でした。
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