とてもYAらしい作品でした。


【内容情報】(「BOOK」データベースより)
ママを亡くしたあたしたち家族の世話をしにやってきたフローおばさんは、死んだ人を清めて埋葬の準備をする「おとむらい師」だった…。19世紀半ばの大草原地方を舞台に、母の死の悲しみを乗りこえ、死者をおくる仕事の大切な意味を見いだしていく少女の姿をこまやかに描く感動の物語。

文章はロレッタ・エルスワース
出版社は作品社です。
作品社は「豚の死なない日」を出していますね。
YAに力を入れるということかも?的な感じの記述が見受けられました。
今度ちょっとチェックしてみようっと。

近い雰囲気の作品は
金鉱町のルーシー
でしょうか。
アリスの見習い物語
にも共通するものがあるかな。

少女が思春期をくぐりぬけながら、
自分がおそらく一生続けることになるであろう将来の仕事に出会う
そんな物語です。

ただこの「おとむらい師」という仕事の特殊性に
ワタシがひっかかってしまいまして。
この本の紹介、書きかけでしばらく寝かせていたのです。
まだうまくかけるかどうかわからないのですが
とにかく書きだしてみることにしますね。

まずは上記の2作品との大きな違いを。
まーぶっちゃけいうと、稼げる職業か、そうでないかが一番大きいかもしれませんね。
身もフタもない話ではありますが。

「手に職」であり、「女性が中心でやっていくにふさわしい仕事」である、
という面では共通していますが
お産婆さんも司書も、その仕事をしている人はひとり立ちできています。
けれど
この物語に出てくるフローおばさんはたいてい『お礼を受け取らなかった』そうです。
もちろん完全に無償ではないようですが
『自分の仕事は神さまからの贈り物だから、神さまにささげられるべきものだと』言っています。
うーん、ある意味神父さんや牧師さんよりもストイックなのではないかしら。

実をいうと、ワタシはここがまず最初にミスリードを誘うところではないかしらんとおもっております。
無償=尊い
になりがちな匂いがします。
使者を送るおとむらいを心をこめてすることが尊いのであって
そこについている「無償」は大きいかもしれないけれど、オプションです。
無償ですることだからこそ尊い、になると
どうも意味が違ってくるように感じますが、作中ではそれも含めて尊い、になりつつありますので
すすめる側としては
ココに関しては注意点のしるしを心の中でつけましょうねと考えております。

そして
おとむらいが、フローおばさんの代まで続いた、世襲であり
決まったやり方で行うものであるがため
そこに固執する面も見られる、ということ。

物語のはじめの方で、行商の金物屋さんがくるのですが
彼がもたらすニュースの中に「『斎場』の仕事が始まりつつある」というのがあり
おばさんはこれに対してはっきりと嫌悪感をあらわにしています。
それに対して行商のおじさんは「時代はかわっていく」と『ほとんどひとり言のようにつぶや』くのですが。
このくだりは
イーヴィがおとむらいという仕事について興味を持つきっかけにもなっていますので
いい悪いではないかもしれません。
判断することではないが、そういう側面もあった、というくらいに考えるべき箇所でしょうか。
(あとがきなどを読むと、現実としてこの「斎場」に押されておとむらい師の仕事はだんだん失われていったようです)

この本、そんな感じでいろいろ複雑です。

ストーリはそれほど難しくないのですが
たとえば
片意地をはり、執拗なくらいの意地悪をおばさんにするイーヴィーに対して
あれほどフローおばさんが寛容なのはどうして?とか。
フローおばさんは「いろんなことを犠牲にしてうちの手つだいをしにきてくれたんだよ」という父の言葉も
尻切れトンボのようにそのままになっていたり。
(このふたつに関しては、おばさんが故郷で夫を亡くしたことと関係しているのかな、と
勝手に推測しています。
身近な人を亡くした身を切るような悲しさと、八つ当たり出もしなくてはいられない辛さを知っているから寛容で
夫の墓のある土地から離れてしまったため、心の中でしか彼を偲べなくなったのが大きな犠牲ではないか、とか)

イーヴィーがおとむらい師の仕事に向いているかも、と思われる
遺族に対して非常に思いやりがあるというのは
母を亡くした悲しさを彼女自身がまだ癒していないからではないか、などという深読みもできたり。

単純に
こんな仕事があったよ、こんな人がいて
こんなふうになりたいと思ったんだよ、という話にも読めますが
その路線で書いていて
どうにもぬぐえなくなってしまった違和感を書きだすとこのような感じになりました。

死は避けられず
どこの家にも訪れますが
それを、公的な意味合いで取り仕切ってくれることで
残された家族の心がなぐさめられる

素晴らしい仕事でありつつ
一筋縄ではいかない側面を持つ
おとむらい師という仕事について書かれた
あまりないタイプの作品です。
今はない職業であるからこそ
理想化しすぎず
さりとて卑下せずに
よい面もそうでない面も受け入れられるように読めたらいいな…と思いました。
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つるになった少年

うぶめ

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