久々に大アタリのYAキター!


【内容情報】(「BOOK」データベースより)
主人公ジョナは、靴店で楽しくアルバイトをしていた。天才的センスで靴を売る姿に感動したお店のオーナーが、ジョナを運転手としてひと夏やとうといいだした。思いもよらないオーナーとのドライブで、ジョナを待ちかまえていたものは?さわやかな青春ストーリー。

文章はジョーン・バウアー
出版社は小学館。SUPER!YAというシリーズです。

…えっとー。
コピペしておいて何なのですが、上の内容情報は軽過ぎでは★
間違ってないだけに非常にビミョウです。うう。
なので、この内容紹介で「ありがち」とか切り捨てちゃったりしないでくださいね、お願い!
そしてもっと言うと、この表紙もどうせならうんとラノベ風にしちゃったらいいのにー!と思っていたりします。
とにかくもっとアピールしたい。そして読んでほしい!本なのですよ。
ネタバレも一部しますが、ご了承いただきたくお願いいたしまっする。

原題は「RULES OF THE ROAD」交通ルール、みたいな感じかな?
免許を取って半年のジョナが超ロング・ドライブを高級車でしていく道中の出来事がメインなので
たぶんそれにかけているんだと思います。
邦題に関しては、翻訳の灰島かりさんがその理由を書いていますので、読んでみてくださいね。
(王子さまがいないシンデレラというのが個人的にはピンときませんが、ま、それは好き好きで)

書き方はジェナの語り口調で、あまり深刻にならないようにしていますが
実のところ、彼女の環境は順風満帆とは言い難く
ドライバーとしての旅行は、しんどい部分からのリセットにもなるため
本当のところはジョナの仕事旅行に反対したい母親も、やむなく許可するといった側面もあったりします。

ジェナも、そして社長も家族に対しても問題を抱えていて
それゆえに相手に対して共感し、ヘタな憐れみなどではないつきあいができるのですね。
ふたりともサッパリしていてガッツがありますので、会話のテンションも
からっとしていたりさりげなかったり。
緩急のあるぶつかりといたわりの加減がイイ感じ。

YAって、繊細であるがゆえの傷つきを表現することも多いのですが
ヘビーな面をことさら強調されると読んでいてしんどくなるんですよね。
でも、この本は、そんなふうに深刻にならず
だからといって取るに足らないことではない、大事なことなんだというのを
読み手にしっかり伝わるように書いてくれています。

ドライブには途中から社長の友だちのアリスが加わり、
お年寄りふたりと長く過ごしたジョナの受けた影響が素晴らしくわかる名文があるので、以下に引用しますね。
『ずいぶん長いこと、お年寄りといっしょに時間をすとしてきたものだと思う。だってあたしはいつのまにか、カウント・ベイシーとデューク・エリントン、ふたりの古いジャズピアニストのニュアンスのちがいがわかるようになっていた。』
…ワタシがグッときた文章です。音楽好きな人はきっとこの文、ニヤッとするんじゃないかしらん?

音楽に対してそれほど興味がない方でも、しんどい時にはこんな文章を思い出すと助けになることがあるかも?
以下はカリスマ販売の店員、ハリー・ベンダーがジェナの悲しみを知って彼女に語った言葉です。
『こう考えてみないか?人生には落とし穴があって、おまえさんは大きな穴にはまっている。でもね、健やかな暮らしと考え方の方へ、おまえさんの心と頭をしっかり向けておくんだ。そうしていれば、穴から抜け出す方法がきっと見えてくるはずだってね』

本好きな人にはこの文章、ちょっとやられた!だったりしませんかね。
『おばあちゃんがよく言ってたな。神様が図書館をお作りになったのは、人間に「だって知らなかったんです」という言い訳を使わせないようにだよ。人間が知らなくちゃいけないことは、ほぼぜんぶ、図書館に詰まっているんだからね、って』
(…このセリフ、最近話題になっている、某戦争コミックを禁止している図書館の方にも読んでいただきたいような★
検閲するのは図書館の仕事にあらじ、と思うのですよね~…)

久々にいっぱい引用しちゃいましたが
こんな感じで、好みの文章がいっぱい入っているのと
少しずつの変化を重ねて、ジェナが、そして社長が成長していくこと
そして
長いドライブを終えて家にかえると、家でもやはり変化が起きていて
ターニングポイントだったかもしれないけど、
でももしかするとこんなふうに変化し続けるのが普通のことなのかも
と思わせてくれる
結びつきにくい要素を両立させて、さりげなくつなげている
作家の力量が素晴らしいと思うので
この作品は、ワタシのこの夏イチオシのYAです。

機会がありましたときにご一読いただけましたら幸いです♪
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【リンク】ふだんブログで小説の読書感想文を書きました

学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方 ※ちこっと追記しました

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