百日紅より、収録作品を2作ご紹介。
よりぬきで2~3日かけて記事更新しようかな…と思っています。





作品内容の紹介文がないなー★
江戸の有名絵師、葛飾北斎と娘のお栄を中心とする連作短編集です。
あ、メインは北斎よりも娘のお栄ちゃんの方です。

著者は杉浦日向子さん
画像にもなっているちくま文庫に全作品が収録されています。
(ホントは実業之日本社のでかい本が好きさ。未収録の作品があるんだけど、紙質とかいろいろ趣があるのダ)
日向子さんの本は
百物語
風流江戸雀
を過去記事で紹介しております♪

先日、ふっとこの本に収録されている「走屍」の話を思い出してツイートしましてね。
(明日の記事で紹介する予定^^)
そんで
百日紅、もう紹介してるよね?どんな記事だっけ?とw
(自分が過去に書いた記事のことって、たいていウツクシク忘れてるのですよ。ほほほ)
検索かけてみたら、あれ?まだじゃん!?そうだっけ?

なんでというのはすぐに思い当たりました。思いついた時の自分の力量が足りなかったのじゃ★
いまでも1冊丸々はムリだと思うけど
細切れにしたら、少なくとも語ることはできるんじゃね?と
思えるようになったので
この隙に書いちゃうよ~んw

今日ご紹介するのは
鉄蔵(北斎)を過去に振った女性おたかさんの話「再会」と
鉄蔵の娘、お猶ちゃんの話。
どちらも亡くなるときのお話です。

なんでこれ書こうと思ったのかなー。
お盆過ぎだからかもですね。
ご先祖様とかお墓参りとかの話がちらりほらりと見える。
旧盆の8月までになんかそういう話を書いておきたいのかな…。

ちっと前にTwitterでもツイートしたことあります。
ふだんブログで書いた「メメント・モリな話」という記事がありまして
このとき浮かんだ心象風景って
実を言うと原点はこのおたかさんの話だったりするのです。

おたかさんが「モウいけないらしい」と共通の知り合いから聞き
本当は行きたくないんだけど、しぶしぶ見舞いに行く鉄蔵。
おたかの姿に、危ういものを感じる見舞いでした。

夜、ひとり寝るおたかさんのところへ迎えに来る男。
こちらでの時が終わり
あちらへの旅立ちは道行きのよう。
手をひかれながらもふと振り返り
「……なにか忘れものをしてきたようで……
思い出せないよ」
と、ぽつり。

そんな終わりは
夜の闇に散る花のようなはかない感覚。

ほんの数コマなんですけどね
闇の深さを伴い
すうっと消える蝋燭のように
生と死は地続きで、ほんの薄い線で区切られているように感じさせてくれる作品です。


かわって「野分」はお栄の同腹の妹、お猶ちゃんの話。
彼女は生まれた時から盲目のため、琵琶の弟子として尼寺で育っていたそう。
それが実家の生みの母(北斎とは離別のため別居)のところにいる。
戻されたのは(作中にハッキリとは書かれてはいませんが)病が重いからなのでしょう。

鉄蔵(北斎)はこのときも気づいています。
なにやら匂いがしたようです。
つきあってる女性のところにいったときに
「何か匂わないか」と聞いていますから。
おそらくは病の匂い(そして死の匂いにも通じる)を除けるため
魔よけとなる鍾馗さまの絵を描き
お栄ちゃんに持っていかせます。

お猶ちゃんの容態については、母もお栄ちゃんもうすうす気づいていますし
もちろん当人のお猶ちゃんも
自分の寿命についてわかっているよう。

「死んだら地獄へ行くよ
地獄ではお地蔵さまに石を積んであげるのが仕事だ」
「なぜって 決まっているのだから仕方がない」

投げやりではないけれど
自分の「その先」について淡々と述べる
お猶ちゃんの言葉の色は
白を通り越して虚無の色に染まっているようです。

そして
ふとした瞬間の〈虫の知らせ〉。
一目散におたかの家まで走ったお栄ちゃんは
やはり間に合わず
母からぽつりと告げられます
「いっちゃったよ」

輪郭がはっきりとして
スパンと切り取ったような短い人生の終焉。
死という区切りに対して
人はなす術を持たないのだ、と
諭すような作品。


勿論
死というものには
このふたつの作品ではくくれない
それこそたくさんの面があることでしょうけれど
逝く人も、そして残される人も
取り乱すことなく受け入れている
この2作品を読んだときから
ワタシの中の〈死〉は
荒ぶるもの、恐ろしいだけのものではなくなったように
思っているのです。
スポンサーサイト

「ほうき」「鬼」「離魂病」(『百日紅』収録作品)

ざりがにのおうさままっかちん

comment iconコメント ( -0 )

コメントの投稿






trackback iconトラックバック ( -0 )

Trackback URL:

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。