そろそろこの本を紹介する頃合いかしらん?と。


内容(「BOOK」データベースより)
谷地に住む土神は、粗野で乱暴な土地の神でしたが、一本木の野原に立つ、きれいな女の樺の木に心惹かれていました。ところが樺の木にはもう一人の友達がいて、樺の木は、その気取り屋でやさしい狐のほうを好きなようなのです。土神は切なさと嫉妬に悶え、苦しみぬいた末、なんとか樺の木への執着と狐への憎しみを克服しようとしたのですが…人間の存在を修羅とみなした宮沢賢治が、その修羅性とそれによって生じた悲劇をあからさまに描いた、異色の童話。この作品のもつ独特の世界を、中村道雄が組み木絵で表現しました。

宮沢賢治・文
中村道雄・組み木絵
偕成社から出版、シリーズ日本の童話名作選です。

宮沢賢治作品はカテゴリを作っていますので
そちらからご覧いただけます。
中村道雄作品も何作か紹介しています。

宮沢賢治がこんな三角関係を書くなんて!?と思うくらい
ドロドロというかベタな感じの物語です。

天で光る星のような物語が多く
その理想や美しさに憧れる人も大勢いると思うのですが
それに比べてこの作品は
人間が一人も出てこないのに
本当に人間くさいです。

しかもこの設定
何がコワイというか可哀想かって
土神と狐にはさまれる樺の「木」。
木なんですよ。動けないの。
どちらがきてもその場で相手をすることしかできなくて
訪ねることも逃げることも追いかけていくこともムリ★
なので
読者は物語の最後を読んでいて、どういう結末になったか知ってますが
もしかしたら、ううん、多分
樺の木は結末を知らず
ずっと気をもんで心配したままなんですよ…。
わからない怖さを抱え続ける樺の木には
いくら同情してもしたりないように思います。
優柔不断なところはあっても
樺の木としてはやむなし、だと思うんですよね。
いまいる場所から動けないのだから
当たり障りなく、穏便に過ごしたいと思う樺の木のことは
どう考えても責められない。

もしかして
これに近い三角関係を
宮沢賢治は身近で見たことがあるのかしら?
そして
知り合いの男同士が、こんな困った極端な状況にならぬよう
物語にたとえて書き
こっそり見せたりしたことがあるのかしら?

思ってしまうくらいリアルなんですよねぇ…
(どうかこの勝手な推測が外れていますように!)

さてさて
物語について書きすすめると
どんどんドツボにはまりそうなので
絵の方に話を戻しましょうか。

中村さんの組み木絵については
過去記事でも何度も述べているくらいの素晴らしさなので
今さらイチから書くとくどくなりそうですが

今回特筆すべきなのは
土神ですね。
特に爪!細かいですよぅ!

狐はワタシの好みで言うと
もっとキュッと痩せこけたくらいに細身でシュッとしていてもいいんじゃん?
そんでもっとズルイ顔でもいいんじゃん?
と思いますが
中村さんは優しいので、
狐のウソつきは気の弱さとちょっとした見栄からでてきたものだ
好きな相手にいいかっこをしたいのだ
という弱さを前面に押し出した狐になっています。
こういう狐だと、自業自得じゃん!と責めるのはかわいそうになっちゃうなぁ。
物語だけ読んだときは、狐ってかなりイヤなタイプだったんですけどね★

という印象の違いも含めて味わうのが
絵本の醍醐味ってものではないかと思っていまして
物語のドロドロなムードを
なんとかもう少しソフトに!と努力した中村さんとのコラボレーション
かなりの名作でございます。
秋の夜長にどうぞ。
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