石川宏千花作品、好きなんですよー。

『ユリエルとグレン』、『密話』、『妖怪の弟はじめました』、『お面屋たまよし』『死神うどん店』…かなりコンプリートに近い感じで読んでます。
一番好きなのは、著者を初めて知った『密話』。泣いてハマりましたねー。
(『ユリエルとグレン』と『密話』はブログで紹介しているので、記事の最後にリンクしますね)
『死神うどん店』はシリーズが完結したことでもあるし、近々の紹介を検討しています。
 
さて、前フリはこのへんにして、書誌情報からスタートしましょうか。 

 

 

 

怖さより悲しさとあたたかさを強く感じるホラーファンタジー

シリーズものになると思い込んでいたけれど、よく読んだらそんな記述はなかった…★

続編希望!と、書き直しておきますわw

連作短編集で、3作品が収録されています。

 

内容情報によるとファンタジーとカテゴライズされているようですが、石川宏千花作品はたいていがちょっとホラーな色合いが混ざっていますので、苦手な方は心構えしておいたほうがいいかも。

 

ルビがふってあるところをみると、児童書の扱いなのかな?内容的にはラノベでもOKな感じ。

(文芸書が文庫になるみたいに、ラノベの新書や文庫に移行してもいいんじゃないかな。表紙の雰囲気がいいので、移行時も同じイラストレーターさんの表紙希望します。

クレジットは『Matayoshi』となっていて、けんさくによると「またよし」というひらがな名で活動してる方のようです)

 

おっと、話がそれ気味に。

 

主人公のレオ(どうやら日本人という設定のようで『伶央』という漢字名も書中に出てきます)は14歳の寡黙な少年。

育ててくれたルパートと死に別れて3年。相棒の大きな犬バーソロミューと暮らしながら墓守りをしています。

そんな彼が出会った生者や死者との物語。

以下、収録の3話について、なるべくネタバレにならない方向でざっくり書いていきますね。

 

『ブルー・マンデー』

 

初っ端から濃密なストーリーでした。

幽霊がたくさん出てきますが、霊としての怖さよりも悲しさや寂しさのほうが際立っています。

オーソン・スコット・カードの『消えた少年たち』にちょっとカラーが似ています。と書けば、読んだことがある方には通じるかな?

 

そして、似ているけど違う!と新鮮に驚いたのが以下の場面です。

ネタバレなので反転させますねー。

最初、主人公かな?という印象で登場した少女・エミリアは、実は死者。でも、自分が死んでいることに気づいておらず、その事実を知るのが物語の起承転結でいう<転>にあたります。

殺したのは父親で、虐待の果てなのですが…

なんと、彼女は自分の死に気付いた後、レオに頼んで、父に対し「自分はパパを許す」と伝えてもらいます。

パパは許されてはいけないことをした。世界中の人がパパを許さない。許されてはいけない。でも、世界でたったひとり、自分だけはパパを許してもいいはず…。

このくだりの無垢な悲しみと愛情は本当に胸を打ちます。

父に対して、そして母に対して。エミリアは子供としてできるかぎりの愛情をレオを通して伝え、死者が行くべきところへ去っていきます。

あらすじだけでは伝えきれないニュアンスを、ぜひ本書で堪能していただきたい作品です。

 

 

ダズリング・モーニング

 

これはレオと相棒のバーソロミューの話。バーソロミューの視点で語られています。

レオの生い立ち、育ての親(?)ルパートとの関係、そしてバーソロミューとの出会いと生活…。

ページ数も短く、短い幕間劇のような役割をはたしています。怖くないので緩衝材のような作用があり、ほっと一息つけます。

 

クランベリー・ナイト

レオがよくいく食堂で会う男性。レオに親しく話しかけてきますが、実は彼は…

ということで、これもネタバレ対策で反転させましょうか。

 

無差別殺人の殺人犯の話なんですが…

彼が殺人をするきっかけになった出来事や心理を、レオが死者たちの力を借りて見事に逆転・反転させるのが見どころです。

逮捕よりもこの殺人犯が思考を転換させて行く場面の緊迫感がすごい。

警察に捕まり…彼はおそらく死刑になるでしょう。

死刑でたくさんの死者への詫びになるかどうかはわかりません。

けれど、彼は自分の過ちを認め、今まで受けていた愛情をしっかりと理解するのです。

陰惨なはずの殺人が妙に乾いていて、そして、最後の彼の様子が晴れ晴れとしていて、今まで乾いていたと思っていた心が潤っている…。

他の人の作品ではあまり見られないテイストの、独特の読後感をもたらす作品でした。

 

レオは死者と交流できる能力を生者と死者両方に愛情を持って注いでいて

どの作品からも、それがとてもよく伝わってきます。

どうやらシリーズのようですから、これからどんな物語がさらに紡がれていく予定なのかを、楽しみに待ちたいと思います!

 

石川宏千花作品、他の作品の紹介記事はこちら↓です。

 

ユリエルとグレン ・その1

 

ユリエルとグレン ・その2

 

 

 

 [さ行の出版社]  [は行のタイトル]
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